「四鬼の道信仰こもる石仏群」

「四鬼山はむかしも今も月さやか」

ご存知「龍江かるた」で詠まれている四鬼峠の2句です。

「龍江かるたを訪ねて」という冊子をご存知でしょうか。

龍江かるたの学習資料、いわゆる攻略本です。

龍江自治新興センターで1冊200円で販売されています。

龍江かるたで遊んだり、学んだりして数々の名所の名前は知っていても、実際にその場所に行ったり、どこにあるか知っている人って実は少ないのでは??

「龍江かるたを訪ねて」とはいえ、どうやって訪ねればいいんでしょう??

という疑問に応えるべく待望の第二弾、1年半ぶりの「龍江かるたを訪ねてみた」です。

 

さて、第二弾は世の中の鬼滅ブームに乗ってか乗らずか、残暑厳しい2020年9月、四鬼峠へ行ってみました。

四つの鬼ですよ?気になりません?

四鬼峠(よきとうげ)、別名「斧峠」とも書くそうです。

龍江のウォーキングマップに掲載されているものの、マップのコースには組み入れられていない四鬼峠。

 

四鬼峠ってどこにあるんだろう??

 

まずは龍江村誌で調査してみた!

龍江村誌の第五章 「交通・運輸」P219〜古絵図が掲載されています。

現存する古絵図はいずれも江戸中期の明和以降に描かれたもので、役人の巡検に当たっての案内資料として差し出した控えである。

1841年の地図に「よき峠」の文字を発見!

そして、「龍江地区の石造文化財」という項にはびっしりと石仏名が・・・

続いてSNSで調査してみた!

インスタグラムで四鬼峠がどこにあるのか尋ねたところ、三遠南信自動車道で無くなってしまったのではとの情報が寄せられました。

それでも諦め切れない私たちは、どこにあったのか、そこにあった石仏群はどこへ行ったのか・・・

知っていそうな方々にいろいろ聞き取り調査をしたところ、四鬼峠へ行く道順の有力情報を得ることができました。

芦の口の詰所の少し上から入って行くようです。

住宅地図で教えてもらったところとgoogle mapsの航空写真と重ねて見ると、何かあります。

赤枠の部分、正方形の屋根らしきものが見えます。

そういえば、龍江ウォーキングマップにはこんなことが書いてありました。

– 善光寺如来が岩屋の中に安置してある –

この正方形のものは岩屋なのでしょうか。

三遠南信自動車道はすぐ横を通っているけれど、工事の影響はなさそう!?

「無くなったと思われていた四鬼峠がここにある!」そう確信した我々は踏査に挑みました。

 

いきなり発見!馬頭観音。

三遠南信自動車道を建設するにあたり整備された道を進んでいくと、谷間に大きな高架橋が現れました。

ここの沢が清水沢(しみずさわ)、地名を清水入(しみずいり)というようです。

そして、車を停めたすぐ脇には・・・” 馬頭観音 ” がありました。

― 馬頭観音の石仏については、馬頭の名称から身近な生活の中の「」に結び付けられ、近世以降、民間の信仰に支えられて数多くのものが残されている ― wikipediaより

道の整備の影響を受けたのでしょう、コンクリートでしっかりと固定されています。

早くも一つ目の石仏を発見し、四鬼峠踏査への士気が高まります。

教えてもらった地図の通り、この清水沢に沿って道がありました。

沢沿いの道をしばらく進んでいくと道が二手に分かれていて、山の斜面を登っていきます。

割と道幅も広く、草木の茂りもさほど多くないので歩きやすい。

目指すは小高い尾根。

いよいよ峠へ

息も弾みかけてきた頃、何やら建物が見えてきました。

「社だ!!」

探険隊員たちの顔に自然と笑みがこぼれます。

もっと登るかと思いましたが、意外と早く辿り着くことができました。ものの10分程度でしょうか。

社の大きさは、幅・奥行きは約2.5メートル、高さは約3メートルといったところでしょうか。

瓦屋根のその佇まいは、重厚感と、どこか厳かな雰囲気を醸し出しています。

岩室らしきものが裏手にあり、木造とのハイブリッド感がすごい!

何も知らない人がいきなりこれを見つけたら、きっとびっくりするでしょう。

いずれにしても、この場所にここまでの建物を造るのは容易なことではないですよね。

隣には古い建物の跡らしきものも。

 

視線の正体は・・・

社の発見とその佇まいに感動していると、どこからか視線を感じます。

気のせいかと思いながらもおそるおそる辺りを見回してみると、そこに石仏を発見!!

しかも1つや2つばかりでなく、至る所に鎮座しているではありませんか!

先ほど感じた視線は、どうやらこの石仏たちのものだったようです。

 

大きさ、形、刻まれている文字等、その佇まいは一つひとつ違います。

龍江ウォーキングマップには「50体以上が祀られている」と書かれています。

試しに数を数えてみましたが、50体位まで数えたところでよく分からなくなりました(笑)

数々の石仏が並ぶこの風景は「圧巻」の一言に尽き、すべては写真に収めきれないほどの規模です。

まるでこの四鬼山そのものが石仏のような感じさえします。


全天球カメラで撮影するもなかなか雰囲気を伝え切れえないのが悔しいです。

 

この記事をお読みいただいているあなたは、今も龍江にこんな神秘的な風景が残されていることをご存じだったでしょうか。

機会があればぜひ実際に足を運んで、この雰囲気を肌で感じながら、当時の人々に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

寺院や神社、石仏、石碑といったものが今もしっかりと残されている龍江を引き続き訪ね歩いてみたいと思います。

 


龍江の老舗呉服店「とミや」の尾関社長から貴重な写真をご提供いただきました。(2021年2月)

昭和八年四月三十日

四鬼峠善光寺再興