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ライブ配信機材レビュー

コロナ禍で従来のような大規模な集合会議を開けなくなり、アフターコロナ、withコロナに向けた取り組みとして、龍江HP運営委員会はこれまでリモート会議、公民館委員会定例会のライブ配信をしてきました。
この度、龍江地域づくり委員会ではニューノーマルの先駆けとなるようにと機材を導入していただき、当委員会でこれらを借用し、昨年末、龍江絆駅伝の屋外ライブ配信を敢行しました。
リアルイベントの中止、対面での仕事や食事の自粛などが続く中、なかなか直接会えない時代になっています。
そんな中、オンライン、リモート、ウェビナーなどスマホやタブレット一つで気軽に開催・参加できる手段の存在感を増しています。
ライブ配信のための通信環境が整っていない今田平の屋外環境で、限られた予算と時間でどのようにYouTubeライブ配信を試みたのか紹介をしたいと思います。
 

要求はYouTubeライブ配信

コロナ禍のため、無観客で駅伝を開催したい。そのためにYouTubeライブ配信ができないだろうかという相談を受けました。

通信環境はWiFi

配信環境を整える際、まずは下図のような4つの要素に分けて整理すると機材の信号の流れが把握しやすいです。

ここで電源と回線は配信の「土台」。映像・音声を整理できた後に、各機材に必要な電源ケーブルやルーターやLANケーブルをリストアップしていくと事故防止になるそうです。
屋内、会議室一室ならまだしも、今回は初めての屋外。電源も通信環境も整っていない今田平。
どうやってネット環境と接続しようかと考えた案が下記の2つ。

  1. モバイル通信機器を契約またはレンタルする。
  2. 個人宅に無線LANのアクセスポイントを設置。

幸いなことに、メンバー自宅が会場を見通せる場所にあり、パラボラアンテナを設置してWifiで接続することができました。

撮影場所は2箇所

  1. 桜街道側のスタート・中継点
  2. 中道のゴール地点


給電は埋設、架設、そして発電機

メイン電源はトイレから拝借(勿論許可済み)。そして地中埋設。選手の足元に最大限の配慮し、カチコチの地面を掘り、電源ケーブルを埋設し、フェンス沿いは空中架設。


ゴール地点まではトイレから直線で100m、敷設して120mは必要なことから、発電機を用いた。今回は、地域づくり委員会所有のガスボンベ式発電機を借用。
 

映像の伝搬

機器

・ATEMminipro

ATEMminiPro
HP運営委員会所有品。発売直後に購入手配するも人気過ぎて、入手困難に。さらに2倍以上もの高額転売品が出回る始末。当然、正規ルートで購入すべく2ヶ月じっと待ちました。このスイッチャ―の特徴は、数十万~数百万するプロの機材がわずか一桁万円で実現できる革新的な夢のようなアイテム。最大で4つのHDMI入力が可能で任意でカメラを切り替えたり、テロップを表示させたり、画面切り替え時のエフェクトを追加するなど従来はプロ機材にしかできなかったことが素人でも簡単にできるようになった。今回は2台のカメラをつなげ、予め用意したテロップを重ねて配信した。このテロップもpng形式の画像で書き出したり、クロマキーといって緑背景の画像を作り、緑色を除いた画像だけを映像に重ねたりといった合成をして配信できる優れもの。

・AX-60

Sony AX-60
4K画質のミドルクラス。ガンズームマイクとリモコンを接続し、64GBのSDカードを挿入。ナチュラルなボケ味が出る一眼レフでの撮影がYouTuberには人気だが、優れた手ブレ補正性能ではこちらに軍配が上がる。リモコンは定点撮影だけではなく、パンやズームといった動きを多用する必要もあるためとても役に立った。このリモコンがないと、本体スイッチに手を触れることから、手ブレの原因、スムーズなズームが困難となり得るため、重要なアイテム。また、ガンズームマイクは屋外の撮影では必須アイテム。特に天竜川の風は強く、常に風の音が入力してしまうと聞くに堪えない動画になってしまう。また、屋内でも雑音を拾わずに狙ったところの音を的確に拾えるのがメリット。

・HDMIエクステンダー(2セット)


HDMIケーブルの信号を変換し、LANケーブルに乗せ、長距離(60m程度)を伝送できる。送信、受信の同一機器が必要だが、電源は片方だけでOK。
>メリット:電源が片方だけで動作可能。LANケーブルは比較的安価に購入できる。
>デメリット:レビューを見ると安価な商品は不安定なものが多いらしい。実際今回の中継中にも映像が途切れる現象が発生。延長距離は60m程度が限界な為、コネクタを自作(専用工具が必要)しないと融通が利かない。

・HDMI to SDI+SDI to HIMI

HDMI to SDI / SDI to HDMI
HDMIの信号を変換し、同軸ケーブルに乗せて長距離(S-5C-FBで150m程度)を伝送することができる。HDMIからSDIに変換する機器(送信)と、SDIからHDMIに変換する機器(受信)の一対を準備。
電源(100V)は両方に必要(※)。
>メリット:今回使用した中華性でも安定して伝送できた。同軸ケーブルは簡易接栓なら作成が比較的簡単(一般的な工具で作成可能)なため、長さの融通が利く。
>デメリット:電源が送信側受信側ともに必要(※)。BNC変換コネクタが必要。
※後述のアマチュア向けの「HDMI/SDI」は、電源をモバイルバッテリーからUSB-Cケーブルで供給できるため、電源確保が安易となっている。100V→USB-Cアダプタとのセットもある。

・HDMIケーブル/中継器

映像の伝搬に一般的となったHDMIだが、10m程度の距離ならともかく、長距離伝搬は苦手。値段も手頃になった20mものを導入してもらったが、今回のような100mを超える映像伝搬はできない。そして、今回借用したものは接触不良を起こす「初期不良品」であることが判明・・・
HDMIエクステンダーやSDI to HDMIを使用する場合、両端にHDMIケーブルが必要になるため、カメラの数によっては結構な本数が必要となる。今回使用した最大時は9本(カメラのマイクロHDMIケーブル含む)
カメラに付属していたマイクロHDMIケーブルが1mだったため、中継器を購入し延長。長めのマイクロHDMIケーブルを購入してもよいかも。

・SDIケーブル

両端がBNC端子のケーブル。実際は、テレビのアンテナ線としてもご存じのいわゆる同軸ケーブル。SDIケーブルを準備しなくても、普通の同軸ケーブルの両端にF型接栓を取り付け、BNCコネクタに変換すれば問題ない。F型の中継(JJ)を使用して同軸を延長しても問題ない。S-5C-FBを使用。
DVDやゲーム機などの映像接続に用いられるHDMIケーブルはその特性上長距離伝搬には不向きなため、それを補うために導入。

・LANケーブル

通常はインターネットやパソコン同士のネットワーク接続に使うケーブル。今回はHDMIエクステンダー(映像信号伝送)用に30mと60mのCAT6のケーブルを準備。コネクタは自作。CAT5でも大丈夫とのこと。

・USBケーブル

PCとATEMminiを接続するために使用。Type-A⇔Type-C。ATEMminiの出力映像がウェブカメラとしてパソコンに取り込める。

・ビデオスタンド

いわゆる三脚。重量感のあるビデオを支え、風や振動にも耐え、安定した撮影をするにはにはそれ相応のものが必要。選定が間に合わず、私物を拝借。

・電源ケーブル

長時間撮影、コンバータの電源として100Vを供給。公民館から30m、10mのドラムを借用、10m、20mの私物を拝借。前日に電源を地中埋設すべく、カチカチな駐車場を約25m掘り、埋設。駅伝当日は朝から腕と腰が激しい筋肉痛。その他の配線はグランドネットの架線に沿って架線。三脚に上り、鉄柱に固定しながら配索した。

・無線ルーター(Wifiルーター)

WXR-1750HP2を無線中継器に設定変更して使用。ほかのルーターで試していないが、アンテナ3本の効果は絶大か?今回は、ルーター背面のLAN端子とPCを有線接続。一度無線が途切れてしまったが、テントの屋根がパラボラとの間に入っており、通信が不安定になった可能性がある。テントを移動したところ通信が安定。

・PC&外部モニター

ATEMのコントロールソフトをインストール。ライブ配信画面と控えの映像を確認したり、さまざまな操作をモニタできる。
ノートパソコンはFujitsuのLifebook AH56/C
、第2世代のCorei5でSSDに換装、Windows10Pro64Bitをインストール。余分なソフトはほとんど入っておらず、軽快に動くように調整してあります。ただ、それでもCPUを常時90%前後使用していたので、もう少しスペックに余裕があると良い。
モニターは22インチ液晶。直射日光下では画面が見えずらいので、やはりテントは必要。


公民館内、屋内などの比較的狭い空間、環境なら問題なくできることを春に実証済み。
今回は通信環境の整備されていない屋外でのライブ配信のため、事前に準備を重ねたものの当日のトラブルは回避できなかった。TV局が行うライブ中継のようには遠く及ばず、事前に収録して編集したもののように予定調和ともいかず。多い時で20人もが視聴してくださりましたが、安定した配信ができませんでした。ご不便、ご迷惑をおかけしました。また、カメラとコントローラ側の距離が遠く、情報伝達がスムーズにできず、インカムのような無線通話機器が必要だと痛感しました。
その他、ドローンを用いた上空撮影のライブ中継を望む声をたくさんいただいたが、スマート送信機が約8万円、この撮影操作をするのに免許の取得、機体の識別表示が必要となるなど、越えるべきハードルはたくさんある。
 
次回ライブ配信は成人式を予定していたが、このコロナ禍の影響で延期に。
限りある時間、機材、インフラの制約の中で出来る限り環境を整備し、皆の技術を向上させ、龍江の魅力創出・発信に努めたい。


(担当者の反省と考察)

高価な業務用がほとんどの中、唯一スイッチャ―と同メーカBlackmagicDesignからアマチュア向けの「HDMI/SDI」という送受信どちらも可能な機器(新機種が購入決定日の1週間ほど前に発売)を購入しようとしたが、人気のためか品薄状態で入手困難。メーカーに問い合わせたところ「2ヶ月待ち」とのこと。今回の配信に間に合わないため、仕方なく私物の中華製(前述3セット)を使用した。
スタート地点から中継ブースまでは30m程度。HDMIエクステンダーの1セットで問題なく信号を受信、安定していた。
ゴール地点から、中継ブースまでは約120m程度あり、HDMI to SDIのセット(100mが限界と勝手に推測)と足りない分をHDMIケーブル(20m)で伝送しようとしたが、HDMIケーブルの不具合(※1)で転送できず。代わりに、HDMIエクステンダーを使用(数珠繋ぎ)して延長したところ、映像がブツブツに途切れる現象が発生(※2)。
※1、事前に確認を怠ったのもあるが、長距離伝送をした後の20mケーブルだと信号が弱すぎる可能性もある。後で確認したところ、どうやらコネクタの接触が悪い模様。
※2、HDMIエクステンダーは事前の実証実験で、映像が途切れる現象を確認していたが、基本的に安定していた為当日も安定することを願って使用したことが裏目に・・・(´;ω;`)。上記のHDMIケーブル20mもそうだが、長距離伝送した映像をさらに延長伝送したせいなのかも・・・。後で購入先のレビューを読み返していたところ、LANケーブルに原因がある可能性もという記述があったが真偽は不明。
中継後半にふと同軸ケーブル100m以上つなげられるのでは?と思いつき、急遽同軸ケーブルを延長し接続した結果・・・映像が映り安定した。時はすでに首位チームの最終ランナーにタスキが渡った後・・・。ただ、なんとかゴールには間に合った!
ちなみに、前述の「150m程度転送可能」と判明したのは、後日の実験の結果。

わかっていたつもりで事前準備をしてきたが、検証を怠ったほぼすべての部分が見事に障害となってしまった。詳細な事前の実証実験や製品の検証がいかに大切か思い知りました。そして、安価な中華製品の使用はやめておくべきとの結論に達しました。ただ、HDMI to SDIのセットは安定していたので予備品として役立てることができそうです。

 

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